【徹底解説】これで安心!初めてのゲーミングPC購入ガイド : 第6章「ゲーミングPCの主要パーツと役割 : メモリ編」
この記事は初めてゲーミングPCを購入するにあたって、ゲーミングPCをしっかり理解するためのガイドです。
▸ 前章 : 第5章「ゲーミングPCの主要パーツと役割 : GPU編」
ゲーミングPCの主要パーツと役割 : メモリ(RAM)編
メモリ(RAM)とは?
正式名称は「RAM (Random Access Memory)」と言います。
メモリは、PCが一時的にデータを置いておく作業机のようなものです。この作業机が広いほど、たくさんのアプリを同時に開いたり、大きなデータを扱ったりしてもPCの動作が軽くなります。
CPUが何か計算を行う際、必要なデータはストレージから直接読み込むのではなく、まずメモリ上に一時的に展開されます。メモリはストレージに比べて圧倒的に読み書きが速いため、CPUはメモリからデータを高速で取得し、処理を進めることができます。
もしメモリの容量が不足すると、CPUは頻繁に低速なストレージからデータを読み書きする必要が出てきてしまい、PC全体の処理が遅くなったり、動作がカクついたりする原因になります。
メモリの重要性
ゲーミングPCにおいてメモリが特に重要になるのは、以下のような場面です。
ゲームの動作
ゲーム自体が動作するために必要なデータ(テクスチャ、マップ情報など)がメモリ上に展開されます。特に、広大なオープンワールドのゲームや、多数のキャラクターが表示されるゲームでは、より多くのメモリを消費します。
複数アプリケーションの同時実行
ゲームをしながら、ボイスチャットアプリ、Webブラウザ、動画配信ソフトといった複数のアプリケーションを同時に起動する場合、それぞれのアプリがメモリを消費します。メモリ容量が十分にあれば、これらのアプリをスムーズに切り替えたり、快適に使用することができます。
ゲームのロード時間
ゲームのロード時間にはストレージの速度が大きく影響しますが、オンラインゲームなどではメモリの容量や速度も間接的に影響を与えることがあります。
メモリの容量はどれくらい必要?
メモリの容量は「GB(ギガバイト)」という単位で表されます。
ゲーミングPCにおいては、以下の容量が一般的な目安となります。
8GB
現在では、最低限のゲーミングPC構成です。
軽いオンラインゲームであれば、グラフィック設定を調整することでプレイ可能です。
しかし、最新のAAAタイトルや複数のアプリを同時に起動すると、メモリ不足になりがちで、動作が重くなったり、カクついたりする可能性が高まります。
初めてのゲーミングPCとしては、あまりおすすめしません。
長く快適に使いたいなら、もう少し余裕を持たせた方が良いでしょう。
16GB
現在のゲーミングPCにおける標準的な容量です。
ほとんどの最新AAAタイトルを、フルHD〜WQHD解像度で快適にプレイできます。
ゲームをしながらボイスチャットをしたり、Webブラウザで攻略情報を調べたりといった、一般的なマルチタスクも問題なくこなせます。
迷ったらまずは16GBを選んでおけば間違いありません。
32GB
より高負荷な用途や、将来的な余裕を求める方におすすめの容量です。
4Kでのプレイ、動画編集、3Dモデリング、ゲーム配信など、メモリを大量に消費する作業を行う場合にも問題なくこなせます。
将来的にゲームの要求メモリ量が増えることを見越して、今のうちに余裕を持っておきたい方にも適しています。
一部の最新ゲームでは、高画質設定で32GBのメモリが推奨されるケースも出てきています。
64GB以上
最新ゲームの配信、動画編集、AI生成など、極めて高いメモリ容量を必要とする方に適しています。
一般的なゲーマーにはオーバースペックであり、コストパフォーマンスが悪くなります。
メモリの規格と速度
メモリには、「DDR4」や「DDR5」といった規格(世代)と、「Hz(ヘルツ)」で表される動作周波数(速度)があります。
規格(世代)
現在主流なのは「DDR4」と「DDR5」です。
DDR5はDDR4よりも新しい規格で、より高速にデータを転送できます。
Intel Core i シリーズ 第12世代 以降とAMD Ryzen シリーズ 第4世代以降には、DDR4メモリに対応するマザーボード、DDR5メモリに対応するマザーボードがそれぞれ発売されています。
最新のCPU(Intel Core Ultra シリーズ 第2世代, AMD Ryzen シリーズ 第6世代)ではDDR5のみ対応しており、DDR4は未対応となっています。
DDR4とDDR5には互換性がなく、マザーボードが対応している規格のメモリを選ぶ必要があります。
メーカー製PCやBTO PCであれば、適切なものが搭載されているので心配いりません。
動作周波数(速度)
メモリの速度は「MHz(メガヘルツ)」や「MT/s(メガトランスファー毎秒)」で表され、「DDR4-3200MHz」や「DDR5-6000MHz」などと表記されます。数値が大きいほど高速になります。
メモリの速度は、ゲームのフレームレートに多少影響を与えることがありますが、GPUやCPUの性能ほど劇的な差は出にくいとされています。
しかし、RyzenシリーズのCPUは、メモリの速度によってパフォーマンスが向上しやすい傾向があります。
選び方のポイント
まずは、搭載するCPUとマザーボードが対応しているメモリの規格を確認します。
次に、搭載可能なスロット数と、それぞれに何枚のメモリを挿すか(例: 8GB x 2枚 = 16GB)を考えます。
一般的に、2枚のメモリを挿す「デュアルチャネル」構成の方が、1枚挿し(シングルチャネル)よりも性能が向上します。
速度については、メーカー製PCやBTO PCの標準構成で十分な速度のものが選ばれていることが多いです。もし自分でカスタマイズする場合でも、DDR4-3200MHzあたり、DDR5-5600MHz〜6000MHzあたりを選べば、十分な性能を発揮できます。極端に速いメモリは高価になる上、得られる性能向上が限定的になることもあります。
メモリの追加パーツ
ゲーミングPCのメモリには、追加パーツがいくつか存在します。
ヒートシンク
メモリの発熱を抑えるための金属製のカバーです。メモリの発熱を抑えることで、パフォーマンスの向上や動作の安定性を向上させることができます。
一般的な用途であれば、なくても問題ありません。
高負荷での使用が予想される場合には使用を検討してもよいでしょう。
RGBライティング
メモリのヒートシンク部分に、様々な色に光るLEDを搭載した製品です。PCケースのサイドパネルが透明な場合、ライトアップを楽しむことができます。性能には直接関係ありませんが、見た目のカスタマイズを楽しみたい方にはおすすめです。
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