【徹底解説】これで安心!初めてのゲーミングPC購入ガイド : 第5章「ゲーミングPCの主要パーツと役割 : GPU編」

この記事は初めてゲーミングPCを購入するにあたって、ゲーミングPCをしっかり理解するためのガイドです。


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ゲーミングPCの主要パーツと役割 : GPU編

ゲーミングPC選びで最も重要と言われるパーツ、それがグラフィックボード(GPU)です。この章では、ゲームの美しい映像を生み出すGPUの役割と、あなたのゲーム体験を最大限に引き出すための選び方を解説します。

GPUとは?

GPUは、ゲーミングPCの性能を左右する最も重要なパーツと言っても過言ではありません。PCの頭脳であるCPUが「計算」を担当するなら、GPUは「絵を描く」ことに特化したプロフェッショナルな画家のような存在です。

GPUは、グラフィックボードビデオカードグラフィックカードなど、さまざまな呼び方がありますが、全て同じものを指します。このパーツの主な役割は、ゲーム内の複雑な3Dグラフィックを高速で計算し、モニターに映像として出力することです。

ゲームのグラフィックは、キャラクターのポリゴン数、テクスチャの解像度、光の当たり方、影の表現、パーティクル(煙や炎など)の量など、非常に多くの要素で構成されています。これらの膨大なデータをリアルタイムで処理し、滑らかな映像として私たちに見せるのがGPUの仕事です。

GPUの性能が高いとなにが良い?

高解像度でのプレイ

フルHD(1920×1080)だけでなく、WQHD(2560×1440)や4K(3840×2160)といったより高解像度でゲームを楽しめます。

高画質設定でのプレイ

テクスチャ品質、影の品質、アンチエイリアシング(ギザギザを滑らかにする処理)などのグラフィック設定を「最高」にしても、安定したフレームレートを維持できます。

高フレームレートでのプレイ

同じ画質設定でも、より多くのフレームレートを出力できるようになり、映像が滑らかになります。特にFPSゲームなどでは、敵の動きがより鮮明に見え、反応速度も向上します。

レイトレーシング機能の活用

近年注目されている技術で、光の物理的な挙動をシミュレートし、よりリアルな光の反射や影を表現できます。対応するGPUであれば、ゲームのグラフィックが格段に向上します。

GPUの主なメーカーとシリーズ

CPUと同様に、GPU市場も主に2つの大手メーカーがしのぎを削っています。
(実はIntelもGPU市場に参入したりしなかったりしていますが、ややこしくなってしまうので、ここでは割愛させていただきます。)

NVIDIA(エヌビディア)

代表的なシリーズは「GeForce(ジーフォース)RTXシリーズ」です。

GeForce RTXシリーズ」では、RTX 50XXといった型番が使われます。上2桁の数字は世代を表しています。下2桁(XX)はグレードを表しています。一般的に下2桁の数字が大きくなるほど高性能になります。

末尾にも意味があり、アルファベットの表記がないものは通常モデル、「Ti」が付いているものは上位モデル、「Super」が付いているものはマイナーチェンジ(改良)したモデルとなっています。

RTXシリーズは、レイトレーシング(光の表現をよりリアルにする技術)やDLSS(AIを活用して画質を保ちつつフレームレートを向上させる技術)といった、最新のグラフィック技術に対応しているのが特徴です。

長年の実績と安定性に定評があり、多くのゲーマーに支持されています。

AMD(エーエムディー)

代表的なシリーズは「Radeon(ラデオン)RXシリーズ」です。

Radeon RXシリーズ」では、RX 9XXXといった型番が使われます。上1桁の数字は世代を表しています。下3桁(XXX)はグレードを表しています。一般的に下3桁の数字が大きくなるほど高性能になります。

末尾にも意味があり、アルファベットの表記がないものは通常モデル、「XT」が付いているものは上位モデル、「XTX」が付いているものは最上位モデルとなっています。

AMDも独自のレイトレーシング技術やFSR(FidelityFX Super Resolution)に対応しており、NVIDIA製品と互角の性能を持つモデルも増えています。

コストパフォーマンスに優れるモデルが多く、最近では特に注目度が高まっています。

どちらのメーカーを選ぶべきかという明確な答えはありません。特定のゲームでどちらかのGPUの方が性能が良い場合もありますが、基本的には予算と性能のバランスで選ぶことになります。BTOパソコンであれば、メーカーが提供するモデルの中から、搭載されているGPUのグレードを見て判断するのが最も分かりやすいでしょう。

GPUのVRAM(ビデオメモリ)とは?

VRAMは、GPUがグラフィックデータを一時的に保存しておくためのメモリです。CPUのメモリ(RAM)とは別物で、GPUが描画処理を行う際に高速でアクセスできる専用のメモリです。

選び方のポイント

VRAMの容量が大きいほど、高解像度や高画質設定でプレイすることができます。特に4K解像度でゲームをする場合や、テクスチャの多いゲームでは、VRAM容量が重要になります。

目安

フルHDでプレイする場合であれば8GB以上
WQHDでプレイする場合であれば8GB〜12GB以上
4Kでプレイする場合であれば16GB以上
が推奨される目安です。VRAM容量が不足すると、ゲームの動作がカクついたり、テクスチャがうまく表示されなかったりすることがあります。

ゲーミングPCにおけるGPUの選び方

GPUを選ぶ際のポイントは、「どの解像度で」「どのくらいのフレームレートを目標に」「どんな画質設定で」ゲームをプレイしたいか、そして「予算」です。

エントリーモデル

例 : GeForce RTX 5060 / Radeon RX 7600

ライトゲーマー向けです。予算を抑えて、最低限のゲーミング性能を確保したい方におすすめです。

多くの人気オンラインゲームをフルHD、中〜高設定で安定したフレームレート(60fps〜144fps)でプレイできます。

最新のAAAタイトルも画質設定を調整すればプレイ可能です。初めてのゲーミングPCとしては十分な性能を持ち、コストパフォーマンスに優れます。

ミドルレンジモデル

例 : GeForce RTX 5070 / Radeon RX 9060 XT

一般的なゲーマー向けです。予算を抑えつつ、基本的なゲーミング性能を確保したい方におすすめです。

多くのゲームをWQHD、高画質設定でも安定したフレームレート(60fps〜120fps以上)を維持してプレイできます。
フルHDではより高いフレームレート(144fps以上)でプレイすることもできます。

現在のゲーミングPCの「スイートスポット」とも言える性能帯で、多くのゲーマーにとって最もバランスが良い選択肢です。最新のAAAタイトルも高画質で快適に楽しめます。

ハイエンドモデル

例 : GeForce RTX 5070 Ti / GeForce RTX 5080 / Radeon RX 9070 XT / Radeon RX 7900 XTX

ヘビーゲーマー向けです。予算を気にせず、圧倒的なゲーミング性能を確保したい方におすすめです。

4Kでも高フレームレート(144fps以上)を安定して維持しながらゲームを快適にプレイできます。
フルHDではより高フレームレート(240fps以上)でプレイすることもできます。

あらゆるゲームを高画質で妥協なく楽しむことができ、今後でてくるゲームにも対応できます。

エンスージアストモデル

例 : GeForce RTX 5090

予算はなく、最高峰で圧倒的なゲーミング性能を確保したい方におすすめです。

4Kでも安定して高フレームレート(240fps以上)を維持してゲームを快適にプレイできます。

ゲームだけでなく、クリエイティブ作業(AI生成、動画編集、3Dレンダリングなど)などの高負荷作業をこなしたい方にもおすすめです。

CPUとGPUのバランスの重要性

前章でも触れましたが、GPUだけ高性能でも、CPUの性能が低いと、CPUがGPUの処理に追いつかず、GPUの性能をフルに引き出せない「ボトルネック」状態になってしまいます。

例えば、最新の超高性能なGPUを搭載しても、CPUが旧世代の廉価モデルでは、CPUがゲームの物理演算やAI処理に時間を取られてしまい、GPUが次の描画指示を待つ時間が発生し、結果的にフレームレートが伸び悩むことになります。

逆に、CPUが最高性能でも、GPUがエントリーモデルでは、GPUの描画能力が追いつかず、ゲームの画質やフレームレートは低いままです。

ゲーミングPCにおいては、CPUとGPUが互いの性能を最大限に引き出し合えるような、バランスの取れた構成が理想です。メーカー製PCやBTO PCでは、このバランスが考慮されたモデルが提供されているため、初心者の方でも安心して選べます。


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